今回は、法人の決算・申告と相続に強い税理士事務所である虎ノ門合同事務所の田邊税理士にお話を聞いてきました。
官公庁もそばにあり、虎ノ門ヒルズなどオフィス街としても活性化を続ける虎ノ門にある虎ノ門合同事務所さんは、その生い立ちや事務所の強みからも異色の税理士軍団です。
不動産投資や相続に関しても大きなノウハウを持っており、そのアドバイスは一見の価値ありです!
田邊税理士:もともとは、1982年(昭和57年)に複数の税理士仲間で立ち上げた合同事務所であり、この第37森ビルが新築されたのと同時に入居して業務を開始しました。
虎ノ門合同事務所は屋号であり、実態は独立開業している税理士事務所の複合体です。
それぞれの税理士事務所の運営は各自が主体で行っており、独自に業務を展開しています。
今でいう「シェアオフィス」のはしりのような形ですね(笑)
現在、虎ノ門合同事務所は8名の税理士でパートナー体制を築いています。
私自身は虎ノ門合同事務所内の税理士事務所にスタッフとして勤務していましたが、平成3年に税理士試験に合格し、勤務先の先生に誘われて虎ノ門合同事務所の一員として独立開業して現在に至ります。
田邊税理士:虎ノ門合同事務所開業時の代表所長が森ビルの社長と懇意にしていたこともあり、ちょうど新築されたこのビルに入居した聞いています。
森ビルさんは入居審査が厳しく、私が単独で森ビルに入居を希望してもおそらく入れないでしょう(笑)
実際に、同業の仲間が森ビルにオフィスを構えたくとも断られてしまった…という話も聞いています。
そのため、オフィス街の中心である虎ノ門に所在する森ビルに入居しているということは、開業当初から対外的な信用力につながり、大きな恩恵を受けているといえます。
また税理士業界内において、虎ノ門合同事務所は国税庁OBをバックボーンとした事務所であると知られています。
税理士としての私自身を知らなくとも、バックには国税庁OBの税理士が控えているということで、信用補完されている面もあります。
合同事務所であることのメリットとしては、1点目は「他の事務所が扱えない難しい案件でも対応が可能である」という点です。
虎ノ門合同事務所の8名の税理士パートナーの構成は、4名が国税庁OBの税理士、残る4名が通常の税理士試験に合格して実務に長けた税理士となっています。
国税庁OBの税理士は法人税・資産税・税務調査・審理関係など、各分野のエキスパートが揃っているチームです。
つまり、税務判断に優れたチームと実務処理能力に優れたチームとが一体となっているのが虎ノ門合同事務所であり、そういった意味で非常にバランスのとれた税理士事務所であると自負しています。
案件ごとにすぐに相談やミーティングを行うことができ、税務署や国税局を熟知したOB税理士が、実務チームの若手スタッフなどに要点やエッセンスなどを伝えたり、教えたりすることによって、スキルや知識の向上につながっているため、人材育成の面でも大変助かっています。
田邊税理士:現在は次のような分野のサービスを柱としています。
まずは、新規法人の設立や新規開業、開業時の融資サポートなどを行い、そのまま決算・申告、2年目以降の顧問契約につなげるなど、法人を全力でサポートしています。
あるいは、税理士変更などに関する法人のコンサルティング・決算・申告対応なども行っています。
経理代行に関しては新しいジャンルであり、一般企業の人手不足を補うことを通じて法人のサポートを行っていきます。
今後の需要増を見込んでいる分野です。
また、もうひとつの得意分野、かつ注力していく分野として、相続が挙げられます。
平成25年度の税制改正により基礎控除額が引き下げられてことによって、相続税の納税者が増えていることは実感として感じています。
それまでの税制で計算すれば相続税が課税されなかった人も課税対象となり、たとえ納税額が50万円、100万円であったとしても申告の義務はあります。
基礎控除額の引き下げだけでなく、小規模宅地等の特例も微妙に改正されているため、そうした影響から相続税が課税される人が増えているのです。
田邊税理士:まず相続に関しての相談は、一つ目は顧問先、二つ目は弁護士・司法書士のネットワーク、三つ目に保険代理店のネットワークのいずれかのルートで寄せられます。
比率としては、顧問先60%、弁護士・司法書士・保険代理店ネットワーク40%という感じですね。
相談・依頼内容は主に申告に関することです。
というのも、相談者・依頼者の70%~80%は相続が発生してから、つまり被相続人が亡くなってから来所されます。
生前であれば、資産や活用状況に応じた節税対策や揉めない相続プランを提案できるのですが、亡くなってからでは対策を立てようがないため、シンプルに相続税の算定・申告をするしかありません。
みなさん「やらなきゃ!」と頭では分かっているのですが、そのまま時間だけが過ぎてしまい対策に着手できていないケースが圧倒的に多いです。
ですので、相続税対策という意味では早めに相談していただきたいですね(笑)
また、相続は単純に借金をして不動産を購入すればいい…というわけではありません。
ご自分のケースの資産状況、対策を行うためのロジックやスキームをご本人がきちんと理解していなければうまく進めることはできません。
例えば、納税資金は生命保険で準備しておくケースが多いのですが、遺留分対策として生命保険を活用することも極めて有効な対策です。
なぜなら、生命保険は遺留分から除外されるために、遺留分を他の相続人に分与する時に保険金を利用できるからです。
こうしたロジックやスキームは、一般の人はもちろんのこと、税理士であっても相続税に強い税理士でなければうまく活用することができません。
つまり、相続や資産税に強い税理士を選んだうえで、早いタイミングでまずは相談してみることが望ましいですね。
田邊税理士:必要なことは、不動産の換金性と収益性を見極めることです。
まず換金性に関してですが、不動産であっても一定の流動性を確保しなければなりません。
そのためには売れる物件を買っておく必要があり、売れない不動産は資産ではないと考えましょう。
次に収益性に関してですが、指標としてはやはり利回りです。
ただし、注意しなければならないのは損益が赤字の物件を買うことです。
建物の減価償却により赤字を出して給与所得と損益通算し、所得税の還付を受けるという節税方法がありますが、私は不動産経営という意味では要注意だと考えています。
例えば、物件を実際に見ることもなく北海道や九州などの遠方の物件を買い、所得税の節税効果により多額の還付を受ける高額所得者もいますが、きちんとした出口戦略ができているのか疑問が残ります。
一時のメリットを享受するだけでなく、不動産経営をトータルで俯瞰する眼が大切です。
——消費増税やオリンピックの影響は?
田邊税理士:今年の10月に予定されている消費増税は、消費者心理からすると買い控えなどの影響も考えられますが、そこまで大きな影響は出ないのではないでしょうか。
ただし、中小企業や個人事業主などは消費者などから預かっている消費税を納税する立場にあるため、支払い感が強くたとえ2%の引き上げであっても困惑している部分があります。
これからの日本を支えていくための税制ですので、増税もやむを得ないと理解はしていますが、国には税収の使い方を含めてよく考えてほしいですね。
これまで景気の波は10年~13年程度の周期でやってきています。
バブル景気、ITバブル、リーマンショックなどが良い例ですが、この法則に従えば東京オリンピック後にオリンピックショックのような景気後退の波がやってくるかもしれませんので、準備を怠らない方が良いのでは…と考えています。
田邊税理士:まず、事務所として最も注力していくのは「相続」です。
確かなニーズが見込めるため、集客および課題解決力の面でスタッフ全員によって取り組みます。
次に、MAS(Management Advisory Service=マネージメント・アドバイザリー・サービス)監査です。
MAS監査とは、経営計画を軸として経営サイクル(Plan-Do-See)の確立と運営を支援し、目標達成ができる経営体質へとサポートするサービスです。
そのために、中長期経営計画の策定や実行結果の検証、それにより生じた課題の解決など、さまざまな面から法人をサポートしていきます。
通常の月次決算サービスが過去会計であるとすれば、未来の試算表を実現するためのサービスといえます。
3番目に、経理代行業務の拡大です。
今後、自社のコア業務に集中するベンチャー企業などの誕生や既存企業の増加が見込まれるため、経理業務などをアウトソーシングするケースが多くなると見ています。
当事務所では、会計ソフトやクラウドサービスなどを活用して、そうした企業のアウトソーシング先として一歩先を行く経理代行サービスを構築していきます。
例えば、ロボット技術のひとつであるRPA(Robotic Process Automation=ロボット・プロセス・オートメーション)などを有効活用し、私やスタッフは税務のプロとしての専門知識や提案力を磨いていくことにより、企業に対してより実践的で有効なサポートができると考えています。
——虎ノ門合同事務所さんの雰囲気はいかがですか?
山田さん:田邊先生のパーソナリティもあって、アットホームで風通しの良い雰囲気の事務所だと思います(笑)
業務に関しては、スタッフ本人が積極的に手を挙げれば、やりたいことができるといった自由な風土です。
ただ、どこの会計事務所でも一緒だと思いますが、課題としては業務の増加に伴ってマンパワーが不足しており、人材確保の必要性があると考えています。
田邊税理士:これからの社会は不透明な部分が多く、予測するのが難しい時代だと感じています。
不動産においては、物件を買うことは誰でもできますが、売ることが難しい時代を迎えるでしょう。
不動産を売った後の税金処理もあるため、身近に不動産や相続に強く気軽に相談できる税理士がいるといいですね(笑)
——我々にとっては、税理士事務所は少し敷居が高いイメージがありますが…
田邊税理士:銀行さんにもそう言われることがあります(笑)
たしかに、スーパーやコンビニのように気軽に飛び込むことは難しいため、口コミや紹介などを上手に活用するといいですね。
——田邊先生は「不動産テラスを見た」と言えば、対応していただけますか?
田邊税理士:もちろんです(笑)
とりあえず無料相談を受けていただいて、相続対策が必要なのか、必要ないのかなど、気軽に面談に来ていただければと思います。
また、私に限らずいろいろな税理士がいますので、軽い気持ちで相談してみてください。どの税理士も気さくに対応してくれると思いますよ(笑)
田邊先生は、インタビューの合間にも「これからの税理士事務所は変革が求められている!」と言われていました。
時代が不透明であると言いつつ、将来的な展開やツールの進化などを冷静に見通しているところは「さすが!」と感じる部分でした。
AIやロボット技術の発達によって人間の仕事が奪われる…と言われていますが、やはり人間にしかできない仕事は確実に残ります。
税務業務であれば、頻繁に行われる税制改正や改正のポイントを数式化すること、それらを踏まえた提案力を磨くことなどであると話されていました。
そのような進歩的な田邊先生ですが、不動産投資や相続にも一家言持っており、性格も落ち着いた紳士ですので、ぜひ気軽に相談してみてはいかがでしょうか。